古堅 真彦
あせらず、のんびり、楽しみながら過ごしましょう
卒業制作は難しい。まず、テーマを決めるのに悩み、何を作るのか悩み、次は作り方に悩む。僕からは思わず「これを作ったらいいのでは?」と言いたくなるけど、それを言ってしまってはいけない。みなさん自身がそれを考えるのが卒業制作。僕ができるのは「君は今こんなことを考えているよね」「だとしたらこんな進め方があるよね」といったみなさんの頭の中の整理をするのみです。
そんな中で、最近、僕がゼミでよくやっていることに気づきました。それは「例え話」です。「それってつまり、このマグカップの取手と中身の関係に似てるよね」など、考え方を共有するには例え話がとても有効だと気づきました。
また、人は初めて何かに接したときには自身の過去の体験からそれが何かを想像して、それを理解して、対応の仕方を考えます。「いい作品」や「面白い作品」にはその「過去の体験」がいい具合に実装されています。その作品を初めて見た人が「これはつまり自分の過去の体験からいくとあれだよね、あれをこんなふうに変換したんだ」ということを瞬時に感じさせるしくみが織り込まれています。
この「過去の体験を変換する」ことと「例え話」はとても近いところにあるなと最近気づきました。
自分の作品は過去のどのような体験をどのように変換したのか、また自分の作品はどんな例え話で説明できるのか。そんなことを考えながら自分の作品を自分で講評してみてはどうでしょうか?