一瞬の煌めき。天へと描かれた軌跡。彩られ満たされていく空気。勢いよく伸びる光のすじ。飛び回る小さな光の粒。浮かび上がる形。 段々と、少しずつ、ほどけるように、こぼれるように、散ってゆき、消えていく。二度と同じ形はない。今さっきの残像を脳裏に浮かべながら、次の瞬間へと、時間に身を委ねる。

交わした会話は、言葉は、音は、まるで花火のように、思い出だけを残して、時の流れのなかに消えていく。 両親がいつも話してくれた生まれた日のことも、通りすがりに交わす挨拶も、真剣に相談した夜も、取り留めのない話題も、愚痴も。何気ないその記憶が私の中に残っている。

過ぎ去ってしまったものは、もう元には戻らない。だから私は、あの時、あの時間に思いを馳せる。この作品は、私の過ごした大切な時間の懐古の風景である。