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#不在―現在する存在の再考―
大庭 早奈恵
本|インスタレーション|ポスター
寺山ゼミ
8号館212
私たちは、不在という形で存在していると思う。
コロナ禍になってからか、途端に「存在している」という感覚がなくなった。大学の授業にしてもベッドの中でパソコンひとつで受講できるし、一緒に受けているはずの他の学生の姿は白抜きゴシックの名前だけ。面接も自室で400万画素でできた人間と話すだけ。友達とお喋りするにも開くのは口ではなくまずスマホ。変な時代だなぁと常々思っている。
そのくせ逆に、最近になって存在を強く感じるようになった実在しないものもある。バーチャルの体を持って今を生きている推しができた。亡くなった友達のツイッターが(親族の手によって)まだ動いているから、友達はまだ生きてそこに居るような気がしてしまう。
私のまわりにはそうした「存在のバグ」がわんさか溢れている。在るのに居なかったり、無いのに居たり、本作はそんな、定義の崩れ始めた不確かな存在≒不在というものを考えるきっかけとしての展示である。