風見、舞う群れ
杉山 裕太郎
映像|インスタレーション|立体
北崎ゼミ
7号館1階台車倉庫
私たちは意思決定において、どこまで自由でいられるのだろうか。「あれが欲しい」「こうなりたい」「そっちの方がいい!」

あらゆる欲求には原因があるとしても、それらはあまりに複雑に絡み合っていてるが故に、なかなか直接認知できるものではない。人は時に憧れ、嫉妬しながら、自分の外にある無数の社会と関係性を築いていく。そして私たちはかつて見た誰かの素振りを、気づかぬままに再演する。 自分であるものと、自分でないものの境界はこうも曖昧なものなのだ。では責められるべきは一体だれ?思考はいくらはでも巡るけれど、何ら変わらない毎日が続いていく。

展示空間では、人影めいたもの達が振る舞いを続けている。彼らはただそこに在るだけで、干渉しない。扇動しない。しかしそれでも芽生える微かな関わり合いの中に、 確かに自覚的な意識が、いつわりの統制から逸脱する瞬間を見つけ出したい。