旅を探して。
田邊 愛也奈
本|インスタレーション|写真
白井ゼミ
10号館311A
「人はなぜ旅をするのか」
この大きすぎるテーマを背負ってこの夏、東海道を歩いて旅をした。大学のある小平市から、実家のある兵庫県三木市まで、のべ25日間、727kmをひたすらに歩いた。
多くの便利なものに囲まれ、移動という行為に意識を割かなくて良くなった現代に、その日いかに生き延びるかだけを考えて歩く日々は過酷であった。 しかし、さまざまな人や風景との出会いと別れを繰り返し、その一瞬の出会いを愛おしむ時間は私の中でかけがえのないものになった。
旅先で、泊まった場所や、出会った人と話すうちに、旅人が話すことで持ち込まれる世界は、その場所で新たな世界が構築され、再び旅人が旅立つことによって離散する。 旅はその世界の集約と離散を繰り返しているのではないだろうか。
そして、情報として知っていた場所という点が、線となり、頭の中で実を伴って地図となっていく。
旅は、その一瞬の集積だと思う。