感情を想起させる視覚言語
保村 優斗

中野ゼミ
8号館205
私のデザインの根源は幼少期の読書体験にある。物語には読み手自身と主人公を重ね合わせ、様々な感情を揺さぶる力があると私は考えている。 読書を通じた追体験を繰り返して私という人間は形作られてきた。幼い頃は作家を志していたこともあり、私を語る上で本を読むという行為は欠かせない事象だ。 そんな感情が揺さぶられる体験を文字でなく、図像を通じて提供できないかと試みたのが私の卒業制作である。 試行の末感情を揺さぶるには「変化」が最も重要であることを発見し絵本という形式へ辿り着いた。私はこの卒業制作で絵本作家となったのだ。数奇なことにかつて志した作家へと戻ってきた形である。 制作した絵本は普通の絵本ではなく「変化」に特化し他の要素を排除した絵本だ。そのため使われている図像は極めてシンプルになっているが、これもまた視覚言語の1つの形だ。 また試行の中で得た知見をもう1冊の本にまとめた。この2冊で「変化」による感情の想起の体験、そして私自身の思考のプロセスを知ることができる。