Dilemma
山口 息吹
写真
中野ゼミ
10号館112
今年の夏に身体を悪くしてから人間や生物の根源的なものを再度見つめたいと強く思い直し、狩猟に密着し写真を撮影することにしました 雲取山頂上付近の獣道で中判カメラを持ち歩きながら猟師と山で暮らし撮影するという過酷なものでした いざ実地に赴くと「土地を歩く」という行為からかなり多くの情報、事柄、問題などが見えてくるもので、
未だに作品としてまとめることに苦戦しています。栗原雪彦氏の『火を盗むもの』で彼は、ヴァレリーのカイエは彼にとってプロメテウスの火であると述べています ヴァレリーは孤独に人類のため精神の奥底にあるものを掴もうとした者である、つまり献身し火を盗んできた英雄だと この作品には目を背けたくなるような凄惨ともとられ得る表現がありますが、 そうせざるを得なかったのは眼前にあるものに向き合ったからです これから自分は自然や人間の根底から何か厳かなものを引き出せるような写真家になりたいのですが、まずはこの作品が誰かにとっての火になることができればと思っています。