八千年の変遷を辿る:祭儀から戯への面像
―日中両国における儺面の視覚イメージの再構築―
オウ タクイ
本|グラフィックデザイン|論文
大学院
9号館211
世間の森羅万象に対する問いは、先人が抱えるあらゆる疑問の中でもっとも根源的なものだ。天災と生老病死を司る存在は、人知の及ぶ範疇を超えた超自然の力が生んだものと考えられた。遥か昔、こうした力は鬼神とみなされていた。人々は祭祀を行い、神や先祖の加護を祈る。祭祀において神と人間交流の道具として仮面が重要であった。人間は仮面なしに神にはなれず、神が人間として顕現する時も、仮面は不可欠の手段となる。
すると、仮面は人間と神の間の媒介として重要な役割を担うことになる。宋代中末期、儺劇は儺儀からの転換を遂げ、儺面も鬼神を祀る「娯神」から「娯人」の活動に転化した。この過程で新しい天地と人神関係の観念が形成された。当時の人々が過ごした文化と観念意識は仮面の表現形態に反映されており、今日の造形にも伝承されている。
日中両国における面像の視覚ランゲージを分析することにより、八千年の変遷の背後に人間と外界との関係がいかに具現化されたのか。面像の表現をつぶさに追うことで、新たな解釈を提供したい。