図的表象―ナラティブの視点から―
ゴ シュウアン
グラフィックデザイン|論文
大学院
9号館211
19世紀フランスの土木技師ミナールによって制作された「ナポレオンの遠征図」(1869)を見た時の「ミニマルな表現にも関わらず、膨大な情報が伝達できるのはなぜか」という疑問からこの研究は始まった。
大学院で研究を進める中で、その背後にある「理解とは何か」という問いの探究に展開した。哲学と認知⼼理学といった領域の文献から、人間には諸事象の間に存在する因果関係や、時間の順序関係など関係性を瞬時に見出すことができ、そのある種の関係性を基にナラティブを発動する本能的な思考パータンがあるのではないかという考え方に辿り着いた。
本研究は研究の原点となる主題地図、図譜、統計図表といった図的表象を対象に、ナラティブの視点から、記号として外化された図的表象はいかに作用するかを捉えようとする試みである。