ゼミの開講日は木曜午前午後と金曜午後。両日ともに始業時間に人数が揃うことはまれで、大抵の場合1人2人が申し訳なさそうにドアを開けるところから始まる。けれども心配することはない。終わり頃になるにつれ、それなりに混み始めるからだ。したがって必然的に授業は延長となるが、終わり頃のグズグズした時間が思いのほか充実してたりもする。ゼミ生の内訳は学部生12人、院生5人、計17名で、そのうち5名が中国からの留学生。ゼミ室は、例年通り院生と学部生を分け隔てることなく、共に学ぶ場とした。面談はもとよりゼミ内発表、見学会(市谷の杜本と活字館)、ゼミ旅行(金沢)も基本的に一緒。だからといって、学部生と院生が和気あいあいとしているか、というとそういうわけでもない。発表会、院生は学部生の自由奔放なテーマ設定に戸惑いつつも、先輩らしく受け止め、時には辛辣な意見・質問を投げかけるなんとも頼もしい存在なのだ。と同時に学部生は院生の研究の分厚さに敬意を表し、身を引き締める。学部生、院生、そしてその中の留学生と日本人学生が場を共にし、デザインを語り合える豊かさと贅沢さがここにはある。そして――。
こんなにも多様なテーマがよくも集まってくるものだという卒制と修論。このテーマ群を捌き切れるのか、という当初の不安。けれども、どこかで何かが繋がり、何かを感じて集ってきてくれている......。その1年がまもなく終わろうとしている。
白井 敬尚
SHIRAI YOSHIHISA
グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、
ブックデザイン、タイポグラフィ