Illustration, Writing, Graphic Design12号館地下展示室

纏うことのメッセージ性について

坂本 千尋 大学院

Illustration, Writing, Graphic Design12号館地下展示室

纏うことのメッセージ性について

坂本 千尋 大学院

人間は纏うものによって自己を表現する。それは自らへの内面的な宣言であり、同時に他者への視覚的なコミュニケーションを担う。例えば、武士が様々な色形の兜や陣羽織を纏うことで自身の象徴をもって鼓舞し、相手を威嚇することである。紋様や色彩の選択は個人の独自性の確立や心理を反映し、視覚言語および記号としてそれらを用いることで、自己表現を「メッセージ」として捉えることはできないだろうか。

江戸時代における女性の着物や武士の陣羽織、火消袢纏などの日本の纏いは、潜在意識に抱える感情や思考を探求した精神の具現化の一つであろう。そこには祈り、思想、生き様を紋様や色彩でもって反映させ、個性として視覚化しインディビジュアリティーを多様化させている。さらに自らの魅力、価値などの様々な要素を織り込むことで明確に具体化し、他者に対して意図的にそのメッセージの伝達を可能にすると考える。

本研究は、纏う行為における人間の視覚伝達作用およびメッセージ性を、江戸時代における物語図や浮世絵などの様々な纏いの図版から紋様表現を抽出し図像学と紋様学を介して考察した。自己表現としての紋様や記号表現を探求する。

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