Illustration, Book design, Writing10号館306教室

三嶋仙巌の帰郷

高橋 茉那 寺山ゼミ

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三嶋仙巌の帰郷

高橋 茉那 寺山ゼミ

三嶋仙巌(=三嶋俊太郎)は尾形俊太郎を名乗り新選組に1863年6月ごろに入隊した人物である。入隊後は文学師範、五番隊組頭、副長助勤等を務めた。新選組の文官として重用された彼であるが、戊辰戦争の最中、ついに会津にて行方知れずとなる。彼の活動は近藤勇の行動とともに江戸隊士募集や長州出張など、わずかな記録が残っている。
その後長らく彼の行方はわかっていなかったが、150年を経た2013年、縁者によってその消息が判明した。
三嶋俊太郎は肥後熊本にて1839年浪人三嶋源弥の長男として出生した。本国で国学者としての道を歩んだ彼は、数え25歳で複雑な幕末の時勢の中心へと身を投じている。私は可能な限り彼の足跡を追った。残された数少ない書、書置などの手がかり、そして熊本に残された親類、縁者へのインタビューなどを通して彼の生涯の復元を試みた。
幕末に生きた無名の若者の心情とは何であったのか。
当作品は、三嶋俊太郎が会津から故郷熊本までの帰郷の旅を、資料と現地調査を通して推理し、フィクションとして再構成した物語本である。私から限りなく遠いあなたが、しかし確かに一人の人として存在し生きたことをこの本に綴じたい。

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