Game design10号館311B教室

「夏」

鎗水 菜々香 大田ゼミ

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「夏」

鎗水 菜々香 大田ゼミ

夏。それは、私の作品作りの土台になっていると感じる。 授業から解放され、ただ楽しいことを求めて走り回った幼少期。道端の石ころに、校庭の植物に、家中のがらくたに、自分のアイデアを試していた夏休み。 無限の時間と好奇心には、大人になると制約と責任がついてくる。だから、大人になりたくないと人は思うのかもしれない。ただ、私は失うものは形を変えて残し、増えるものは大事に受け止めていきたい。時が過ぎること、経験を重ねることは、何かをすり減らしているのではなく形を変えて残していくことだと思いたい。 大学4年になって、実家を引っ越すことになった。畳と瓦の家から、フローリングのある最新設備の整った家に移り、「家族の居る場所」は形を変えた。家庭という本質は変わらなかったが、22年間過ごしてきた古い家という存在は確かに失った。この時、残るものはあれど形あるものはいずれなくなり、記憶や思い出は薄れていくのだと実感した。だから、私を作り上げたあの頃の自由と好奇心はどこかに残しておくべきなのだとこの時思った。 子供の頃、私の世界の「全て」だったあの無限の自由をここに記録しておきたい。

「夏」
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