Animation, Illustration, Writing10号館411教室

「逃飛行のトンボ」

大沢 薫 白井ゼミ

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「逃飛行のトンボ」

大沢 薫 白井ゼミ

終わらせても次から次へと現れて迫り来る締切、責任、痛み、あらゆる悩み。

そんなものたちを全部放り投げて逃げ出したい衝動に駆られる時がある。寝ている間は追ってくる何かから逃げなければならないならないというのに、起きている間は逃げるそぶりすら見せることが難しい。そして昼間も飽きずに追ってくる何かから逃げるために、私たちは現実逃避というものを作ったのである。

強くて綺麗で自由なあいつならきっとこの世の全てから逃げ切れるだろうか……。

私の傍にはいつもたくさんの本がいた。好きなだけ抱えてドサッと置いて、図書館が地下に沈んで埋まってしまったのかと思うくらい暗い時間まで。何冊でも。難しい本も1歳が読む本も。わかるかわからないかなんてどうでも良くて、面白ければ喉が渇いて頭がギリギリと痛むまで読んでいた。でも知識がついたからって勘が良くなったってそれは他人の人生の欠片でしかない。

この物語は他人の一生。でも、私の人生。

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