Installation9号館地下展示室

物質と抽象のズレ

澤田 理緒 古堅ゼミ

Installation9号館地下展示室

物質と抽象のズレ

澤田 理緒 古堅ゼミ

セルゲイ・エイゼンシュテインが提起した「原形質性」とは実際にものがそこに存在しているという物質性と、その物質を捉えた上で何を感じるかという抽象性の2つの要素のうち、抽象性のイメージの変化に着目した考え方である。
アニメーションに焦点を当てて考えたとき、私たちが実際に目で見ているのはインクの染みであるが、それらが積み重なって動いたものを別の何かとして認識するように、見ているものと捉えられるイメージの間にはズレや二重性が生じている。 また、ノーマン・クラインはアニメーション表現におけるメタモルフォーゼが起こる最中にAからは離脱しているが、Bにも成りきれていない意味を持たない状態を「アニモルフ」と称した。
 私はこのアニモルフの状態を原形質性でいう最も物質性が強い、あるいは最も抽象性が弱い画であると定義し、反対に抽象性の強い画との間を行き来させることによって、私たちが無意識に感じ取っている物質と抽象のズレやイメージが変容していく瞬間をより強く意識させることを試みた。

物質と抽象のズレ物質と抽象のズレ
一覧に戻る

学生作品一覧