Photography, Installation8号館202・203教室

記録と記憶

中野 俊樹 石塚ゼミ

Photography, Installation8号館202・203教室

記録と記憶

中野 俊樹 石塚ゼミ

私は時折スマートフォンの写真フォルダを見返しながら自らの過去を振り返る。旅行先の風景や見知った人の姿、あるWebページのスクリーンショットなど様々な画像データが格子状に整理され、それらを眺めながら当時抱いていた思いや経験を記憶の底から引き上げる。その中度々現れるのが、他人に見せても意に介されないような変哲のない写真達である。近所の道端や街の雑居ビル、車が行き交う道路、駅のホーム、特別な対象が写っているわけではないが、そのどれもが私の記憶を呼び起こす鍵となる。 これらは、マスメディアに登場するような大衆に向けた情報伝達のための写真から遠く離れた存在であり、過去の自分から現在の自分へと宛てられた極々私的なメッセージと言えるだろう。私が卒業制作の中で試みたのは、こうした私的メディアを対象に情報の付加や一定の操作を施すことで、その存在が私引いてはその他の人々にとってどのように意味や価値が変化するかという過程の観察である。

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