Illustration, Manga, Book design10号館402教室

セロ弾きのゴーシュ

川越 靖子 寺山ゼミ

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セロ弾きのゴーシュ

川越 靖子 寺山ゼミ

宮沢賢治作品の特徴として登場人物の繊細な心情描写があります。 私が選んだ「セロ弾きのゴーシュ」では、とりわけ主人公のゴーシュの感情に寄り添った表現が多く見られます。ゴーシュは町の活動写真館で働く未熟なチェリストです。住んでいるのは町外れの粗末な小屋で、チェロの調子も悪く下手なために楽長には叱られてばかり。そんな「へっぽこ」な彼にはいくらか親近感を覚えます。 私はゴーシュに、内向的で劣等感が強く萎縮しているために無表情かつ愛想のないように見える、ごく平凡な青年の姿を見出しました。こうした劣等感や自意識は青年期に誰もが持つ普遍的な感情だと考えます。 そんな彼は毎夜訪れる動物たちとの交流を経て、凝り固まった心が解きほぐされ最後には演奏会で喝采を浴びることとなります。私はゴーシュの精神的な成長によって鬱屈とした劣等感や自意識から解放されていく様を漫画作品に落とし込みたいと思いました。そのため、この作品ではゴーシュの葛藤や感情の変化が伝わりやすいように注力しています。

セロ弾きのゴーシュ
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