Movie10号館412・413教室

そこに、

井上 優依 寺山ゼミ

Movie10号館412・413教室

そこに、

井上 優依 寺山ゼミ

日常生活を送っていると、ふと、自分という存在が希薄になることがある。目覚めた時、歩いている時、話している時、景色を眺めている時。周囲には確固たる現実が広がっていて、自分は確かにそこで生きていて、息をして、動いているはずで。それなのに、自分がそこに在るという実感が、無い。認識する世界の全てが、まるで膜を一枚隔てたかのようにぼやける。まるで自己の存在だけがこの世界から剥離してしまったかのようだ。 意識だけがふわふわと漂う感覚の中で、聳り立つ現実を前にした時、私はひたすらに孤独だ。孤独のまま、霧散して、そのまま消えてしまうような感覚すらあるのだ。私はそれが空恐ろしい。泣きたくなる。けれど、日々は変わらずに続いていく。それが耐え難い苦痛の時もあれば、暖かい救いの時もある。 この漠然とした不安や恐怖、そしてそれでも日々は続いていく様を、映像を通して表現しようと試みた。貴方にも、私にも、日は平等に巡るのだ。

そこに、そこに、
一覧に戻る

学生作品一覧