in action

古代中国記述史再考

オウ イシュウ

ブックデザイン、コンプリヘンシブデザイン
9号館 211

「書物とは何か」という問いからこの研究は始まった。文字が印刷され、綴じられているものを、書物として当たり前のように我々が認識している。だが文字や図像が刻まれた石や固い粘土、象形文字が鋳込まれた青銅器のような装丁、印刷、紙、文字を取り上げたメディアは書物ではないとは言えないだろう。さらに「書物」という概念を広げると、言葉を記号として使わない絵画や写真や映像、物理的なメディアを持たないウェブページのような電子メディアの産物、または記号もメディアも物理的な存在を持たない人間同士の会話など、極端に拡張された「書物」という概念として呼ぶことができるのだろう。
そこで、私は拡張された「書物」の概念を全て含意する、描く、書く、記録する、編集する、伝達するといった人間の身体を基底として二次元平面から三次元空間及びサイバースペースまでを含めたコミュニケーション行為全体を対象としている概念「ライティングスペース」を本研究の視座として、紙が支配的な記述媒体となる以前の古代中国の記述世界の考察を試みた。
(主査:寺山祐策/副査:北條みぎわ【視覚伝達デザイン学科非常勤講師】)

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