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主観的色彩の美

濵田 汐音

グラフィック
8号館 210

美しい色使いとは一体どんな配色だろうか。

世の中には様々な美しい色で溢れている。自然の中の色から人の手によって生み出された色まで様々だ。
その中でも一際美しいと感じる色の組み合わせがある。万人に共通する感覚ではなく、あくまでも私が個人的に感じるものである。

一般的に美しいとされる配色にはある程度の共通した法則があり、先人の芸術家や研究者たちも配色についての理論を分析し実践してきた。その為の方法論や配色パターンをまとめた書籍が既に多く出版されている。ただ、そういった普遍的な美しい配色とは調和がとれた色の状態を指している場合が多い。

しかし、私はたとえ調和がとれていない状態だとしてもある種の配色に心引かれる時がある。その個人的な感覚は客観的なものではなく、上記の色彩調和の法則の範囲だけで語れるものでもない。その感覚は言葉で説明できるものではなく、私自身も明瞭にその輪郭を捉えられているわけではない。
色と向き合うたびにこの曖昧な感覚を憶えてきた。それと同時にこの感覚の原因・法則を突き止め自分でコントロールできるようになりたいとも考えていた。

この卒業制作はそんな主観的な美しい配色について探り、自分だけの色彩法則を明らかにする実験的スタディである。
スタディでは感覚の原因を「単なる趣味嗜好による配色の好み」で終わらせない為に、ヨハネス・イッテンやジョセフ・アルバースの色彩論に沿って基礎的な色彩練習と知識の習得を進めながら、主観的な色彩の美しさについて様々な実験を進めている。

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