in action

色光

石上 真菜

ブックデザイン、写真
10号館 310

人がものを視るとき、眼は瞬時に光に反応し水晶体を介して網膜に像を結び、視細胞がそれを知覚し脳に伝達する。そのスピードは極めて速いが色、形、動きを知覚する時間には違いがある。視覚神経はまず色に、そして形、動きという順に認識していく。しかし色は最初に認識されて強い印象や感情を喚起するにも関わらず、その色のことは人間はなかなか正確に記憶できない。
また色は無限に存在する。色見本というものはこの世に数多存在するが、そこで取り上げられた膨大な色と色の間にも限りなく色は存在する。さらに色は隣り合う色との相互作用により違う色に見えることもある。
色とは繊細で、揺らぎやすい存在なのだ。

ところで空の色は波長のそれぞれ異なる色の光が大気中で散乱することで生まれる。その空の色、すなわち光の色を私たちは正確に記憶に留めておくことはできない。しかしそのゆらいだ曖昧な色を光で再現することはできる。
不確かなものを不確かなものとして記録すべく、グラデーションの色見本を制作した。

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