in action

言語表現の対照

ソウ シアン

グラフィック、イラストレーション
8号館 204

 日本語と台湾華語二つの言語を使える、留学生の自分が感じた「言語それぞれ特有の表現」に興味を持ち、研究をはじめたテーマだ。言語はその国の価値観、思考、社会の論理なども含んでいると言えるもので、翻訳したら仕方なく無くしてしまう情報がたくさんある。
 例えば日本語でよく見る一人称は「私」、「僕」、「俺」の三つがあり、それぞれ違うイメージを持っているが、台湾華語だと「我」、英語だと「I」の一つしかない。口調も、日本語では丁寧語、敬語、タメ口、方言など多種多様な上、文字にする時の違いもわかりやすいが、台湾華語だと丁寧な言い方、普通の言い方、失礼な言い方ぐらいしかなく、そもそも分類できるほどの違いがない。
 つまり、日本語の作品を台湾華語に翻訳する時、一人称と口調の違いもほとんど消えてしまうわけである。日本では、違う人称、口調を使って違うキャラクターを表現する作品は珍しくないし、そういうところを生かして、魅力を作る作品もあるだろう、そういう時にどうやって魅力をできるだけ残せる翻訳をするのが一大課題となるのだ。
 このように翻訳で生じる問題の根元は「違う言語における違う表現方法がある」と思いつつ、ここに面白さを感じ、これをどうすればうまく記録し、伝えることができるだろうか、リサーチと試行錯誤した結果、図形化などの方法に辿りついた。
私が言語に感じた魅力や面白さを、その言語がわからない人にも届けられると幸いである。

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