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経験ノート

〜生きるのが大変なのをどうにかする話〜

松井 想

ブックデザイン
8号館 204

経験ノートとは、作者の私が日常生活で困ったことについて解決策や対策、予防を主観的にまとめた本だ。元々私は生活する事が下手な性質があったが大学の一人暮らしでそれが顕著に現れた。遅刻、家事が溜まっていく、体調管理など、全くもって気の緩みや不真面目さで片付けられないうまくいかない事に、私は苦戦していた。そんな中この状況を突破しようと、卒業制作の原型である「家事ノート」という名前で家事のメモをつけるようになったのだ。家事ノートははじめこそ家事についてのメモだったが、家事、スケジュール管理、体調管理など内容は多岐に渡る。卒業作品として今まで書きためたメモを再構成し直し、作品として他者に認識される前提が新たに加わり、「家事ノート」は「経験ノート」になった。こうした経緯にある通りその卒業制作は元々自分自身に対して作られたものだが、それを公開し作品として制作する意義は確かにある。それはマイノリティーの理解が主ではない。1つの人のあり方として「こういうものもあるのだ」と認識し、少しでもこのノートを読んだ人の人生の役に立つ事ができれば本望だ。困り事は、頻度や影響力が多少一般的でないがよくある日常の事例であり、対処法は普遍的な問題解決であると私は思っている。あなたと私は同じ人間という生物であって私と同じように困る事がいつかくるかもしれない。大切な人が同じような問題で立ち行かなくなるかもしれない。汎用性よりその実際に起こったという実在に論点を置いている事例研究のような立ち位置で私自身以外の皆様にも伝わるべきものがあると信じている。媒体としては学生生活でいろいろなものにビュッフェのように手を出して制作をしてきたが、思えば、集めた情報を整理し再構成するという共通した行為をこの4年間行ってきた。故にこの卒業制作は今まで作ってきた作品の集大成だと胸を張って私は言う事ができる。

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