日常生活の中に起こるものの中には様々な関係がある。関係がないということも、その無関係によって何かが肯定されてしまうこともあり得る。また、あるあたりまえな行為が違うベクトルでのあたりまえを崩す行為になる。そのような複雑な意味の世界の中で人は生きている。そんな世界の中でこそシュールを感じる。
私はシュルレアリスム運動の歴史を踏まえ、自身がシュールと感じる事象を収集し、分析することで、シュールを作り出す関係性の構造を視覚化した。そしてその研究のアウトプットとして、このインスタレーションでは展示空間での「鑑賞する」という行為をモチーフに鑑賞者自身をシュールな状況にすることを目指した。また、シュールの関係性についての図録を制作した。
本作品を通じてものごとの関係が多面的な関わりの中で変形しシュールが生まれていくことを感じてもらいたい。