in action

神様

入澤 碧

インスタレーション
10号館 307前階段横窓際

私は、自分が自分でしかないことを考え、苦しみ、時に開き直ることを物心ついた時から繰り返している。

なれないものの憧れの一つに、宗教を信じる心がある。無宗教の家庭に生まれた私は、神様を持っていなかった。
何か悪いことをしたら、迷惑をかけてしまった人に許しを乞い、そして自分を自分で肯定するしかない。嫌な予定があったら、それが過ぎ去った後の自分になれ!と思った。
いるかいないかわからない神様より、自分を受け入れ、とめどなく確実に流れていく時間を頼ることが救いだった。
つまりは、私にとっての宗教は自分と時間である。

卒業制作を進めていく途中、これらを可視化することをテーマにした。私にとっての神様の形を作りたいと思った。
そこで、私はゼリーを固めることを選んだ。
動物性であるゼラチンから滲み出る生命感と、キラキラときらめく現実味のない美しさ、そして中にいる物を宙に浮かせてしまう無意識な説得力が、私の宗教と噛み合った。そして、試行錯誤の末、ゼリーをゼリーで固めることで生まれる現象は、まさに私の思う「自分は自分」という考えに結びついた。

これらを踏まえ、私はゼリーで神様を象ることを卒業制作とした。

作品一覧に戻る