世の中に存在しているものが全て目に視えているとは限らない。そして時に私たちは、視たくないものを無意識に隠してしまったり、視えないが故に知らないふりをしてしまうことがある。視えないものを可視化することで生まれる意味やメッセージがあるはずだと信じ、私は大学生活で人間には見えないミクロレベルの解像度のものを可視化する作品を制作してきた。
そして卒業制作ではミクロレベルの原点に返り、この世の全てを構築する原子にフォーカスを当てた。私たち人間や植物、目の前にあるペンや消しゴム、空でさえも約100種類ほどの原子が組み合わされて構成され、存在している。
ナノメートル、つまり10億分の1メートルの世界を見つめ、印刷表現での再構築を試みた。