JOURNEY

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ゼミの皆さんへ
今年の私のスケジュールは絶望的でした。今もその絶望的なスケジュールは続いています。その起因は自らに有り、人に文句を言うことは出来ません。またその絶望的なスケジュールの原因は、実感を伴いながらのただただ知りたいと思うことによるのです。顕微鏡で見るような微細な形の差から数百年単位で比較する事で見えてくる形の意味との間を、行ったり来たりの繰り返しの中からさらに見えてくる事などがあります。そしてそれらが有るときそれまでの文脈とまるで異なる文脈を生み出しさらなる疑問を生み出します。また知識として蓄えられていた物への擬似的感覚が、あるときその物を実見することによって知識から実感へと変化するのですが、その瞬間は新しい知見を得ることに繋がり独自の感覚へと変化します。この段階から調査・研究の枠組から造形の枠組みへと変容が可能となり知りたいことの具現化にむけた編集が始められます。
この数年の間これらの繰り返しで、今も続いています。この繰り返しは仕事としてのデザインとは少し異なります。行き先を自らが設定し時には無駄を覚悟で遠回りをします。しかしこの絶望的なスケジュールをどこかで楽しんでいる自分もいるのです。今年はゼミの皆さんに十分な時間をあげられませんでしたが、確実に良い仕上がりを予感させる作品が出来始めています。そして卒業制作は皆さんのこれからの方向を示唆してくれます。残り45日間、絶望的なスケジュールを楽しんでください。「視デの学生に教員はいらないのかも」と感じさせてくれた私の最後のゼミでした。