東京ミッドタウン・デザインハブ第83回企画展

ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ

2019.11.25.mon to 12.25.wed 11am-7pm | 会場:東京ミッドタウン・デザインハブ

概要

来るべき社会を見据えた視覚伝達デザイン教育の軌跡

武蔵野美術大学は東京ミッドタウンデザインハブ第83回企画展 「ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ」を開催します。本学視覚伝達デザイン学科では、ヴィジュアル・コミュニケーションの未来を拓き、人と人・社会・情報を繋ぐ専門家の育成を教育目標に、これまで多彩な人材を社会に送り出してきました。その教育の特徴は身体性と感覚の覚醒を促し、クリエイティブ・リサーチを重視した基礎課程であり、加えて多様で高度なデザイン専門課程と、現在進行形の社会とその歴史を見据えた創発的デザインとの統合を目指す教育理念にあります。本展は2002年以降の教育成果を公開すると共に未来のヴィジュアル・コミュニケーション・デザインを展望する機会にしたいと考えています。会期中には本学教員が社会の様々な分野で活躍する卒業生とともにデザインの未来を考察いたします。広くデザイン領域に関心をお持ちの方々の参加を歓迎いたします。

展覧会によせて

視覚伝達デザイン学科における教育の特質

視覚伝達デザイン学科の教育の特質は、基礎課程における基礎概念を入門ととらえず、全ての造形を支える最も重要な基盤と考えていることです。まず最初に学生個々が持つ感性と知覚能力の覚醒とその開発が目指されます。それを前提にアナログからデジタルに至る身体の拡張として多様なメディアを工房教育などを通して実践的に学びます。また環境を観察し情報を収集、さらにそれらを編集、構成することのクリエティビティ(創造性)とダイナミズム(楽しさ)をデザインの基礎として学ぶのです。その為のユニークな複合カリキュラムが用意され、それらはデザイン教育を常に革新していくことを目指しています。
次の特徴は高学年において30種以上の多様な専門教育のプログラムが用意されていることです。学生はこれら先端的かつ高度なデザイン実務と理論を主体的に選んで組み合わせ、多様な専門性を自らが統合していきます。いわゆる研究室が用意したコースを学生が選ぶこととは大きく異なる特徴を持っています。
最後に上記の専門教育と並行しながらコミュニケーションを情報、環境、ライティング(writing)スペースという三つの観点から捉え、既存のデザインにはない未知のデザインを探求する授業が用意されています。高学年においてこのプロフェッショナル(専門)教育とアドバンス(未来志向)デザイン探求の双方が設定されている点が本学科の最も大きな特徴だと思われます。その理由は教育の場こそが、未来のデザインを切り開く創発的な場でありたいと願っているからに他なりません。優秀な学生たちはお互いが切磋琢磨する中でこの複雑なプログラムをこなしてくれます。最終的に学生による学びの集大成である卒業制作では、非常に高度な専門性を実現したもの、学生個々の社会への鋭い洞察を含むもの、今日的な観点から埋れた過去の事象に新たな光をあてたもの、未来を予見するアヴァンギャルドな挑戦等々が生み出されてきました。今回の展示ではここ十数年の教育の成果を振り返り、また本学科で学び社会に巣立った卒業生とともに、新たな未来のデザイン教育を考える機会にしたいと念じています。

ヴィジュアルコミュニケーションスタディは常に現在進行形です。

視覚伝達デザイン学科カリキュラムチャート(『ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ』2003年)

展示作品から

2002年度から2018年度までの卒業制作優秀作品を中心とした約90点を展示します。
加えて関連キーワードから各作品の特徴を抽出するデジタルアーカイブも公開予定。
様々な観点から視覚伝達デザイン教育の成果を読み取ることができる展示を行います。
*卒業制作作品アーカイブは現在準備中です。

  • チヒョルト再考

    青松基

    AOMATSU HAJIME

    2005年度

    タイポグラフィには、知ってしまった以上、踏み込まずにはいられない領域というのがあると思います。僕はチヒョルト(Jan Tschichold 1904-74年)の著作の翻訳と、その内容の解釈を通して、その領域へと踏み込みました。この本が、今一度チヒョルトの偉業について考え、さらには現在の日本のタイポグラフィについて再考する、そのきっかけになればと思っています。

  • THE POSTER OF CASSANDRE STYLE

    伊藤裕平

    ITO YUHEI

    2007年度

    ポスター界の巨匠、A. M. CASSANDREが活躍していた時代の広告ポスターに使用していた視覚言語、あるいは方法論を現代のクライアントに置き換えて実践することで、現在と過去においてのコミュニケーションの距離感を、比較しながら楽しんでいただけたら嬉しい。

  • シンメトリー・ムーブメント

    岩見梨絵

    IWAMI RIE

    2007年度

    シンメトリー・対称性とは生物全てにおいて関わる重要な要素の一つです。それは対称図形が図になりやすく、認識しやすい強いイメージを持ったものだからです。この現象をヒントに、見る側が操作することで対称図形を創り出し、様々なイメージを想起させるといったシンメトリー・ムーブメント(動く鏡の装置)を考えました。動的に変化していく対称図形によって、ことわざや物語の場面展開が新しい表現として写し出されていきます。

  • 行為の軌跡 ―活字の裏の世界―

    荒井美波

    ARAI MINAMI

    2012年度

    活字になる前の本のインディーズである文豪の直筆原稿は、書く行為の軌跡である直筆によって人間性や身体性を感じ取る事ができます。立体によって臨書する事で線の前後間の関係から文字の書き順や、筆者の息づかいをも感じられ、筆者が本文を書いた後にルビを振り、編集者が活字の号数指定などを書き込むといった時間の過程があるように、活字本が平面なのに対して直筆原稿の中には数多くの文字の層があり、空間が存在するのです。

  • 里山の連環

    村田智

    MURATA SATOSHI

    2012年度

    人工的なエネルギーを必要とせず、自然と人間とが協調しながら生活が営まれる環境を里山と呼びます。人間は里山から得られる天然の資源を利用し、里山は人間の手入れによってその生物多様性と豊かな風景を維持しています。
    里山の合理的な循環構造や動植物相互の持続的関係性、また、そこで暮らす人々の日常の記録は、これからの時代に必要な考え方を導いてくれると考えました。3年間のフィールドワークで見えてきた里山の輪郭やその組成を視覚化し、各専門分野に蓄積された里山の姿を総合的に編集しました。

  • in the Wind

    森田千誉

    MORITA CHIE

    2013年度

    少女の心境の変化を風と鳥で表現しました。
    動きから、風の心地よさを感じられるアニメーションをめざしました。
    広い野原で伸びをしたい、走りまわりたいという気持ちや、普段の制作での迷い、決断などをもとに流れを作りました。

  • TSUGIMOJI

    渡邉佳代子

    WATANABE KAYOKO

    2013年度

    日本の建築に見られる釘を使わずに木材同士を繋ぐ「継手」は職人さんの知恵と技術の賜物でした。
    しかしながら、大量生産・大量消費の現在では継手を目にする機会は少なくなりつつあります。
    「TSUGIMOJI」は継手の形の面白さ、カチッとはまる心地よさを生かしたアルファベットパズルです。
    あそびながら、日本の伝統的な技術に少しでも興味を持ってもらいたいという想いを込めて制作しました。

  • 水仙月の四日

    茂木美桜

    MOTEGI MIO

    2017年度

    「水仙月の四日」は、宮沢賢治が書いた童話である。宮沢賢治の作品には、目には見えない存在、風や雪などの自然現象を擬人化することにより、彼らの声を描いた童話がある。雪をテーマとしたこの作品も、その中の一つだ。
    岩手県の四月の景色、美しく磨き上げられたような群青の空、そして時に荒々しくその表情を見せる雪童子達。
    文章の中に込められた風景を想いながら、私はこの物語をもとに1冊の絵本を制作した。

  • 眼とモルフェ―

    濱元拓

    HAMAMOTO TAKU

    2017年度

    この作品はジェームズ・ギブソンの視覚論をベースにしている。彼の著書『生態学的視覚論』に「眼が抽出するのは形態ではなくて連続的な変形なのだ」という言葉が出てくる。この作品は、彼のこの発想を見る人に経験させる為の作品である。作品の中では要素がランダムに配置されているが、要素の動きには規則性がある。人の眼は規則によって生じる形を知覚する。私たちは刺激自体を見ているのではなく、刺激の関係から生じるパターンの連続を見ている。

  • 四角いジャングル

    岡﨑実央

    OKAZAKI MIO

    2018年度

    私は4年間プロレスの作品しか作ってきませんでした。この作品は最後のプロレス作品です。今回はリングの周りを囲む観客(リングの4方向を囲むパイプ椅子席、指定席、立ち見のバルコニー席)それぞれからみえるプロレスというエンターテインメントをピカソやブラックが発展させたキュビズム(様々な角度から見た対象の形を1つの画面に収める技法)を使い表現しました。また、プロレスのスケールの大きさを体験してもらうため、レスラーを等身大(またはそれ以上)の大きさで描きました。4年間の最後に何かを言うととしたら、この言葉でしょう。「1番スゲエのはプロレスなんだよ!」

関連イベント

アートディレクター、インタラクションデザイナー、書体デザイナー、絵本作家、鍼灸師……。
従来のデザインの枠組みを超えた様々な分野で活躍する卒業生たちと、
彼らを教育の場で支えてきた教員達によるトークイベントを開催します。
デザイン教育とは何か、何によってクリエイションが創発されるかを
知ることができる対話となるでしょう。

トークイベント
既存の枠組みを超えて」

Part 112月1日  13:00–14:30

宇野由希子(書体デザイナー)
河野奈保子(デザインコーディネーター)
西沢一登(VIVITA・デザイナー)
宇野由希子(書体デザイナー)

1989年生まれ。2013年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。有限会社字游工房 書体デザイナー。仮名書体「こうぜい」で東京TDC賞2014 タイプデザイン賞を受賞。映像作品「夜は」藤田すずかとの共作)で東京TDC賞2017 RGB賞を受賞。書体、ロゴタイプ、映像など、さまざまな文字のデザインを行う。

河野奈保子(デザインコーディネーター)

1980年生まれ。視覚伝達デザイン学科卒業。同研究室助手、NPO・市民活動支援センター 活動支援員、NPOグリーンズ 学校・事業部マネージャーを経て、現在フリーランスで複数のチームのプロジェクトマネージャー/生涯学習講座の企画運営に関わる。「自立した個人が人生の選択肢を増やし、行動していく社会」を目指し、ソーシャルデザイン・ローカル&コミュニティデザイン・NPO等の分野において、個人やチームが新たなチャレンジのできる事業づくりや仕組みづくりを実践している。
人が学んだり、何かをつくっているときの横顔が、世界で一番美しいと思ってます。美しい顔でいられる場をつくり続けたい。

西沢一登(VIVITA・デザイナー)

長野県出身。武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン学科卒業。ソニー株式会社(2003-2015)を経て、現在VIVITA株式会社で、子どもたちに向けて、モノ作りを通した学びと遊びの場を作る活動に参加している。クリエイティブツールの開発やデザイン・クリエイションを学べるワークショップを通して、アイデアやイメージを実現できるような環境を作る活動に力を入れている。

詳細

Part 212月15日  13:00–14:30

イシカワミチコ(みつばち鍼灸院 院長)
岩渕真理(絵本作家、環境教育コミュニケーション研究者)
小杉幸一(クリエイティブディレクター/アートディレクター)
イシカワミチコ(みつばち鍼灸院 院長)

1980年生まれ
武蔵野美術大学造形研究科修士課程視覚伝達コース卒業
新宿鍼灸柔整専門学校(現 新宿医療専門学校)卒業
鍼灸師国家資格保有
みつばち鍼灸院院長

博物館勤務時に体調を崩し、そこから人体や健康観へ傾倒する。出産後の自身の体調不良から分子栄養学を学び、栄養と鍼灸で身体を調整する治療にたどり着く。

講義】
2018/10/29 Facebook メガビタミングループ グルコン講義担当 
2019/02/16 ひがしふしみ保育園 職員向け 栄養とカラダの講義担当 
出版】
2018/11/30 初心者マークの栄養療法 一問一答』MITSUBACHI BOOKS)
2019/06/08 クリエイターのための健康栄養術:デスクワークで疲れているひとへ』(みつばちブックス)

岩渕真理(絵本作家、環境教育コミュニケーション研究者)

2009年:武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。同年、凸版印刷株式会社に勤務
2009年:エプソンイメージングコンテスト勝井三雄賞受賞
2012年:第60回ニッコールフォトコンテストニッコール大賞受賞
2016年:にわのキアゲハ』かがくのとも)福音館書店から出版
2017年:東京大学大学院情報学環・学際情報学府修士課程修了
現自然教育やコミュニケーション学に基づいて、自然に親しむことができる絵本や、物語性のある図鑑を制作。絵本や図鑑、自然の造形物を使い、子どもがセンス・オブ・ワンダーをもって自然に関わることができるような取り組み、研究を行う。2020年8月に、福音館書店から科学絵本を出版予定。

小杉幸一(クリエイティブディレクター/アートディレクター)

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、2004年博報堂入社。2019年に onehappy を設立。ブランディング、イベントのほか、空間、テクノロジーを使った従来の型にはまらないアートディレクション、商品開発、アパレルブランドとのコラボレーションなど幅広く活躍。
主な仕事に、資生堂「50 selfies of Lady Gaga、SUNTORY「特茶、三陽商会「STORY&THE STUDY、SUZUKI「HUSTLER、STARFLYER「輝く人へ、ジャニーズ事務所「CI デザイン、YELLOW MAGIC ORCHESTRA 「YMO40、南座「京都ミライマツリ、日本テレビ「ガキの使いやあらへんで、Cartier「WISH、PARCO「パルコアラ、築地玉寿司「もじにぎり」などがある。
主な受賞に、東京ADC賞、カンヌライオン国際広告祭デザインGOLD、JAGDA新人賞、D&AD、NY ADC、ONE SHOWGOLD、ACC賞GOLD、JRポスターグランプリ最優秀賞、準朝日新聞広告賞、ギャラクシー賞、ADFESGRANPRIX、釜山広告祭GRANPRIX、フジサンケイグループ広告大賞優秀賞など国内外多数受賞。
著者に、小杉幸一の仕事」CCCメディアハウス、トレインイロ」朝日出版社。

詳細

Part 312月15日  16:00–17:30

沢田耕一(視覚伝達デザイン学科客員教授)
新島実(視覚伝達デザイン学科名誉教授)
寺山祐策(視覚伝達デザイン学科主任教授)
沢田耕一(視覚伝達デザイン学科客員教授)
新島実(視覚伝達デザイン学科名誉教授)
寺山祐策(視覚伝達デザイン学科主任教授)
詳細
進行  
石塚英樹(視覚伝達デザイン学科准教授)
北崎允子(視覚伝達デザイン学科准教授)
中野豪雄(視覚伝達デザイン学科准教授)
会場   インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター東京ミッドタウン・デザインハブ内)
参加費   無料
定員   100名
お申込   席に限りがありますので事前のお申し込みを承っております。
お手数ですが以下のリンクよりご予約ください。
> 専用イベント申込ページ(外部サイト)

レセプション・パーティー

会場   インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター東京ミッドタウン・デザインハブ内)
日時   12月1日(日)16:00–17:30

基本情報・アクセス

東京ミッドタウン・デザインハブ第83回企画展

ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ

  • 会場

    東京ミッドタウン・デザインハブ
    ミッドタウン・タワー5F)

  • アクセス

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    ❶ 都営地下鉄大江戸線「六本木駅」8番出口より直結
    ❷ 東京メトロ日比谷線「六本木駅」地下通路にて直結
    ❸ 東京メトロ千代田線「乃木坂駅」3番出口より徒歩約8分