主任教授より

本学科の教育の特質は、まず基礎課程における基礎概念を入門ではなく、全ての造形を支える最も重要な基盤と考えていることです。1〜2年次では学生個々が持つ感性と知覚能力の覚醒とその開発が目指されます。それを前提に身体の拡張としての多様なメディアを工房教育も含めて実践的に学びます。さらに環境を観察し情報を収集、編集、構成することの創造性と喜びをデザインの基礎として学ぶのです。その為のユニークなカリキュラムが用意されています。次の特徴は高学年において30種以上の多様な専門教育のプログラムが用意されていることです。学生はこれら先端的かつ高度なデザイン実務と理論を主体的に選んで組み合わせ、多様な専門性を自らが統合していくのです。皆さんの将来の仕事を決めるエッセンスのほとんどが、ここに用意されています。さらに上記と並行してデザインを情報、環境、ライティング(writing)スペースという三つの観点から捉え、既存のデザインにはない未知のデザインを探求する授業が用意されています。高学年においてこのプロフェッショナル(専門性)とアドバンス(未来探求)デザイン思考の双方が設定され、学生は自らの意思でそれらを統合していきます。このことが本学科の最大の特徴だと思われます。その理由は教育の場こそが未来のデザインを切り開く創発的な場でありたいと私たちが願っているからに他なりません。優秀な学生たちの卒業後の社会における多様な活躍がこの理念を証明してくれています。ヴィジュアル・コミュニケーション・デザインは社会の状況、テクノロジーとともに絶え間なく変化していきます。現状にとどまることなく、学生と教員が一体となって学び続け創造性に満ちた場でありたいと強く願っています。


寺山 祐策(てらやま・ゆうさく)
1991年4月着任。2017年より主任教授。