視覚伝達デザイン演習Ⅱ(大学院2年通年)

授業概要]
各自の修士論文・制作における研究テーマを題材にした、年表の編集と制作を行う。
年表はマッピングとダイアグラムの特性を兼ね備えた、時代をさかのぼる(遡る)ための大変有効なツールである。このクラスでは年表の制作を通して、各自が設定したテーマを他と共有しながら各自の修士論文・制作の為の準備を進めてゆく。
 なぜ歴史を遡るのか。例えば我々の目の前にあるコンピュータの文字組版システムは、15世紀の活版印刷術の発明に依っている。興味深いことに、この活版印刷術の発明の後、当時の人文主義者達はより良い印刷活字の字体を求めて、さらに歴史を遡りローマ時代の碑文にその理想の形を見いだしている。逆にコンピュータにおける画像再現技術は複数の複製技術の進化の積み重ねに依って作られてきたことが、その歴史を遡ることによって理解することができる。自身のテーマはどのようにして歴史の中で形づけられてきたのか。各自のテーマと関連する周辺領域を含む歴史を遡ることによって、テーマそのものに対する新たな発見やあるいは関連する要素との新たな関係づけなどが年表制作から誘発されるだろう。
 制作する年表の主な時代区分は15世紀、書物の揺籃期(インキュナビラ)から現代までとする。

[種別] 大学院2年通年