【コンピュータの登場】
ヴィジュアル・コミュニケーション・デザインのエリアは、多くのメディアの拡大と交叉と共にその表現形態は多彩を極めている。デザインの諸領域はもとよりさまざまな芸術ジャンルの境界は、今日ではかなりお互いに曖昧なものになっている。その相互の影響は、かつてない新しい表現形態とコミュニケーション方式を生み出そうとしている。
1980年以降のデジタルメディアの出現によって、社会環境も急速にその枠組みを変えつつある。その影響はコミュニケーション・デザインばかりでなく、他のデザインエリアをも巻き込み予知不可能な状況を、そして新しいデザインのビジョンを生み出している。コンピユータが、その演算能力を視覚的な情報処理によって伝達機能に影響し、感性やイメージの生産に関わる分野に急速に普及したことは象徴的である。
21世紀に目を向けると、情報通信活動は拡大と統合化とネットワーク化の一途をたどり、情報空間は日々変革されている。現代のヴィジュアル・コミュニケーション・デザインを考える場合、さまざまな情報言語の統合化、あるいはインタフェース・デザイン、インタラクティブ・デザイン、ネットワーク・デザインといった全く新しいデザインの領域までが、その射程に入ることを認識する必要がある。