視覚伝達デザインH: (4年生ゼミ-通年)

形態 – 種別] 実技 – 選択必修授業(ゼミ)

授業概要]
「デザイン」は「目的」を持っています。使いやすい」美しい」楽しい」早い」など。また、その目的の対象もさまざまです。まず第一はそのデザインの使用者でしょう。使用者が「使いやすい」や「美しい」と感じるにはどうしたらいいのか? と、デザイナーは考えます。また、目的の対象が共同制作者のときもあります。デザイナー自身が頭の中に思い浮かべるアイデアをどのように共同制作者と共有するか、これもデザインをする上での大きな目的の一つです。
そして目的を達成する方法として「アルゴリズム」という考え方が重要視されはじめています。アルゴリズム」は「手続き」や「手順」などとも訳され、以前はコンピュータの世界の単語として扱われていました。ある計算を「早く」終わらせることや「できるだけ省電力で」計算を終わらせるにはどうすればいいか、などを考えることです。
一見、とても理科系寄りの単語である「アルゴリズム」ですが、上記のような「目的」を完遂させるためのノウハウや概念をそこには含んでいます。そして、冒頭に述べたようにデザインには「目的」があります。ある目的を達成するためにどのような道順を経るべきか、それを考えることがこれからのデザインには必要であり、デザイン指向の「アルゴリズム」を考えることがこれからは重要視されています。
たとえば「ダイアグラム」を例にとって考えると、さまざまな関係性を記述したものがダイアグラムとした場合、その関係性を「わかりやすく」見せるのが「目的」といえます。
「紙」を使う場合、紙は大きなエリアを使えます。そこでその「大きさ」を有効活用するアルゴリズムが考えられます。また、紙を使ったダイアグラムはこれまでに多くの作品が作られています。そこには「わかりやすさ」を工夫したさまざまな先達のアルゴリズムが存在します。また映像で表現する場合は時間軸を使えるので、それを有効に活用したアルゴリズムが考えられます。また、インタラクティブという特徴をもつコンピュータを使う場合には、使用者がコンピュータをどのように触るのかをリサーチしてそれを埋め込むアルゴリズムが考えられます。
このように、一つのデザイン行為をする場合でも、その目的と行程(メディア)によってアルゴリズムがかわり、そのアルゴリズムの構築方法によって成果が異なってきます。
このゼミではこのようなデザインとアルゴリズムについてリサーチ、体験、制作、実験、検証し、それらを踏まえて最終的に自身の作品を作ることを目指します。