[先生からの授業説明]
言語伝達デザインにとって必須となる文字組版の基礎を学び、その上でデザインと編集の双方を統合した冊子の作成が課題となる。テーマ設定、対象へのアプローチ(観察、分析、研究、執筆、編集)と同時に、構造設計(グリッドシステム)の作成・活用方法を体得し、組版とビジュアルの関係を視感覚によって制御するデザインを演習を通して学ぶ。
(白井敬尚 教授)
[形態 – 種別] 実技 – 選択授業
[授業概要]
授業の具体的な内容は以下のとおりである。
デザインのテーマは「武蔵野美術大学の植物/植生」。表現媒体は「ページ展開を伴う印刷物」とする。
授業の進行
第 1 は
「ページ展開する印刷物」の内容を構造化するためのフォーマットとしてのグリッドの計画と制作である。グリッドとは内容から導き出される基準であり、コンポジションのために用いられる。グリッドは、紙面を構成する視覚要素の相互関係によって成立しており、「単位としての文字の問題」「関係としての組の問題」「構造としてエディトリアルデザインの問題」と捉えることが出来る。
独自のグリッドは、独自の問題発見とその内容把握から計画され、生み出されるものだ。それゆえにグリッドの制作に当たっては、内容に対する深い理解が前提となる。
第 2 は
グリッドを生成するための内容把握として、「武蔵美の植生」の図像生成の計画と制作を行う。ここで言う図像生成とは、自分と自分が見つめる対象との関係を視覚化することである。まず対象を丁寧に見つめ、様々な方法で記述することから始める。次にその見つめているものと自分との関係を少しずつ変化させてみる。それは視線の移動といったごく当たり前のことから始まるが、その変化の過程に独自の図像生成の視点を見いだすことができるだろう。
第 3 は
ページ展開における編集とデザインの関係である。「ページ展開する印刷物」の原点は、その構造からみると「綴じる・めくる」という行為に集約される。このことをふまえて、このクラスでは、ページ展開を伴う印刷物のデザインにおいて、見開き単位のデザインからの脱却を意図し、一冊のまとまりとしての印刷物の可能性を、内容との関係を考慮しながら探ることとなる。
芸術祭までの 5週間、新島は「視感覚の拡大」「デザインフォーマット」「図像生成の計画」を中心とした授業を、白井はページ展開する印刷物の基準となるグリッドシステムの理解と実制作を中心とした授業を行う。芸術祭以降は、両クラスとも上記の 3つの中心課題の具体化に向けた授業内容となる。