阿部哲(2010年度2年生)

「視覚伝達表現演習E」(写真)
宮沢賢治の『春と修羅』を題材としてデザインスタディを行う。「春と修羅」がパーソナルワーク、「序」をグループワークで表現し、各自で本を制作する。

「自分の壁を確認する」
実家がムサビに近くて、雰囲気が合ってるなと思って入学しました。2年生の視覚表現演習での三嶋先生との出会いが自分にはすごく大きくて、がむしゃらにやる姿勢をすごく評価してくれました。あまり型にはめようとしないのがすごく新鮮でした。宮沢賢治の詩をテーマに本をつくって、一章では賢治の書き残した手紙を紹介して、二章は詩を一語一語区切っていって、線でつないでみたりしたグループ作業の内容をまとめました。三章は自分が詩を読んだときのイメージだけでページをつくりました。2年生の印刷の授業で学んだシルクスクリーン印刷を使ってみようと思い、古本屋で近い時代の楽譜を買ってきてその上にシルク印刷で刷りました。3部くらいを試作で刷って、良いものだけを選抜して編集しました。一度紙をガソリンや酢酸につけて授業に持っていったときは、怒られるかと思ったんですが、先生はそれをすごい褒めてくれました。そこから何でもやっていいんだなって、ひとつ自分の壁を確認できて。三嶋先生は学生の作品を見て本気で嫉妬している所とか、ライバルとしてみてくれる所がいいです。何事にも好き嫌いをしないということはずっとこだわっていて、何かに縛られないようにつくっていこうとこれからも思っています。制作をやるときの興味の対象や方向性は、全然ないし、わからないです。それが収束することも多分ないと思いますが自分で納得がいくまでは食らいついていかなければいけないなって思っています。デザイン科って言う自覚もあまりないですが、職業としてはグラフィックデザイナーになりたいです。視デでは、つくることに対してすごく真摯な姿勢で取り組んでいる友人がたくさんできました。そういう友人に褒められると、先生に褒められるより嬉しいんです。

※ウェブサイトでは学科紹介パンフレットから学生インタビューの一部を抜粋してご紹介しています。インタビュー本編はオープンキャンパスや進学相談会にご来場のうえ、ぜひパンフレットを手に取ってご覧下さい。

蛭子井里江(2010年度3年生)

「タイポグラフィデザイン」(写真)
文字を使用するデザイン全ての領域を対象として、文字のみを使用し「文字を組む,文章を組む」ことの意味、「組みのシステム」の理解とその可能性を追求する。

「出会いの場をつくる」
大学に受かったら人と早く何かしたいって言う気持ちがあって芸術祭執行部やオープンキャンパスの委員をやって、1年生の時に、「学園坂ストリートギャラリー」というプロジェクトを商店街の人たちと企画しました。美大ってモノをつくるところだと思っていたんですが、人と人との出会いをつくるのもデザインの一つだと知って、これからもやっていきたいと思いました。2年生の夏に生ゴミの堆肥で野菜を作るというN‌P‌Oセミナーに参加して、3年生では、世田谷トラストまちづくりの学生インターンシップで「岡さんのいえ」というプロジェクトに参加しました。ここは地域の人のためにその家を開いていて、夏休みの間に何回も行って、ウチワをつくってかき氷を食べるというイベントをやりました。ここにはいろんな人が来ていたんですが、小学生くらいの子どもが来ていなかったんです。せっかくこんな場所があるのに、知られていないのはもったいないなと思って、小学生が来たいと思う企画を立てました。3年の環境デザインで「ちいさな夏休み」というワークショップをやったときに、急に子どもたちが学生のかぶっている帽子をとる「ぼうしとり」っていう遊びをすごい勢いで始めたんです。そのときに子どもの気持ちって大事にした方が良いんだなって思って、子どもの遊びについて調べているうちに、今度は遊び場をつくっている人たちを支援したいという気持ちが生まれてそれに繋がることを卒業制作ではやりたいと思いました。やっぱり人と人が関わる場所をデザインしたいと思っています。視デは自分がやりたいと思うことが見つかったら、そこに突き進むことができる場所です。全然違うことをやっているのに、やってるうちにどこか繋がっていたりするところがあって面白いです。

※ウェブサイトでは学科紹介パンフレットから学生インタビューの一部を抜粋してご紹介しています。インタビュー本編はオープンキャンパスや進学相談会にご来場のうえ、ぜひパンフレットを手に取ってご覧下さい。

渡部学(2010年度4年生)

「理-ことわり」(写真)
一つの動作から生まれる、一つの現象。とても単純で、とても力強い体験。これは遊びの原形であり、根源的な宇宙との関わり。

「ひとつの事を続けてみる」
大学は自由です。きっと今までで一番自由な時間を過ごせます。多くの作品に触れたり、海外行ったり、たくさんの人と知り合ったり。その中で、私はあえて「ひとつの事を続けてみること」をオススメします。十代・二十代という若さ。学生という特権。そして四年間という時間。それらを活用し、続けてみれば何かしら芽生えてくるものです。私の1年次の初めの作品のテーマは「遊び」、そして卒業制作のテーマも「遊び」でした。その間には多様な授業を受けており、それが知識の幅を広げ、考え方の基礎をつくってくれていました。テーマというのは、これ!と決めたものではなく、好きってことです。私にとって、それが「遊び」でした。力むことはないのです。全く同じことを続けるのではなく、全体として見れば「ひとつの事」だな、くらいで良いのです。「まだやってるの?」と言われれば「あぁ、そういえば」という軽い気持ちで。「ひとつの事を続けてみること」の「みること」くらいのユルさで。そんな私は、なんとなく続けてみた「遊び」というテーマを胸に決心をし、4年生のときに起業する道を選びました(ここはなんとなくじゃダメですけどね)。今も「遊び」を追っています。遊びと同じように、やりながらルールを覚えている最中です。私にとっての視デは、好きな事を見つける・つくる・伝える場であり、他の人の「好き」を知ることができる場、友だちや先生と存分に対話できる場でした。就職に役立つとか、仕事になるとか抜きに、好きなことは何でしょうか。徹底してやってみて下さい。卒業制作の一年間ではとても足りません、きっかけ程度です。でも、四年間あれば少しはできます。大学生活、ぜひ、「ひとつの事」を続けてみて下さい。意気込むことなく、のんびりと。

※ウェブサイトでは学科紹介パンフレットから学生インタビューの一部を抜粋してご紹介しています。インタビュー本編はオープンキャンパスや進学相談会にご来場のうえ、ぜひパンフレットを手に取ってご覧下さい。

河野通子(2010年度4年生)

「幸せ屋」(写真/グループ制作)
幸せとは〝繋がる〟こと。ある日突然現れて、ささやかな幸せをお届けするのが「幸せ屋」のお仕事です。「幸せ屋」は、私たちなりのデザインの形です。

「隣の人をハッピーにする」
入学当初の私は周囲の様子を伺う小心者で、とにかく無難に生きていました。しかし2年になり、このままでは退屈な作品しかつくれないと気付き、何でも実行しようと決めたのです。視デの男子全員のブロマイドを撮影し、友人の誕生日に写真展をプレゼントした際に、皆の反応を見てふと「これって立派なデザインかも!」と思いました。喜ばせたい相手が居て、何をあげようかと悩む。より素敵に見える包装をする。そして、いつどこでどの様に渡すかを決めいざ当日を迎える。デザインはプレゼントに似ていると考えるようになりました。そんな考えから卒業制作「幸せ屋」も生まれました。実はこれも、二年の頃に始めた自主制作です。偶然出会った人をハッピーな気分にさせたいという思いから、友人と二人でウサギの格好をして、手作りした大量のプレゼントを道行く人に手渡すという活動を始めました。自分に対し直接返ってくる笑顔が嬉しくて、気が付くと1年以上続けていました。相手を思い、つくり、届ける、そして反応がある、そんなデザインの醍醐味を肌で感じられたから、遊びが本気に進化したのだと思います。最終的に「幸せ屋」は、友人2名を巻き込んだ卒業制作となり、卒業後も活動を続けています。このように制作が広がりをもったのは、デザインについて一緒に考え行動できる仲間に恵まれたおかげです。そして、ド派手な衣装で講義に出席しても怒るどころか面白がってくれる、器の広い視デにいたからこそ、自分なりのデザインの形を追求できたのでしょう。受験生の皆さんは入学したら、良い仲間をつくり良い遊びをたくさんして欲しいです。その中に、必ず自分らしさが隠れていると思います。それを見つけたら、全力で作品にぶつけて下さい。楽しんだ者勝ちです!

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河田衣子(2010年度4年生)

「CO-S-EV」(写真)
仮想のエレベーター空間内で、等身大のアニメーション映像をインタラクティブに演出し「世界の連続性」を表現しました。作品のコンテクストがよりリアリティをもって伝わればと思います。

「人の心に残る作品づくり」
大学での四年間は、あっという間なようにも大昔のようにも感じられます。年が上がるにつれ人によって作品の色が大きく分かれてくるので、同級生の作品や制作過程を見るだけでも様々なことを学びました。その中で、作品を受け取る〝対象〟に対する意識の重要性や、実際に製品としてつくる際の物流などを意識するようになりました。また、私は3・4年次に情報デザインの授業を受講したことや、映像・アニメーション作品、プログラミングなどの制作を通じて、自分の作品の方向性が見えてきたように思います。そして卒業制作では、見てくれる人の心に残るような作品がつくりたいと考え、これまでに培った映像制作の技術と、空間性などを合わせたものとなり、展示中は面白いと言っていただくことができて良かったです。受験生のみなさんには入学前に自分を完成させないで欲しいと思っています。わたしも受験勉強の段階で悩むことや、学ぶことはたくさんありましたが、その範囲の枠にとらわれてしまったり、色眼鏡をかけてしまうと、見えなくなってしまうものがたくさんあります。今まで自分に関係がないと思っていた分野でも、どこかでつながっているはずです。また、与えられた課題・目標の中で良い結果を出すことは、とても大切です。自分が当たり前だと思っていたことが当たり前でなかったりすることも度々あります。きちんと向き合って自分のベストの答えを探すと良いと思います。納得のいかないことは、どんどん追求していき、納得のいくまでぶつかっていきましょう!自分の好きなことへは正直に、素直に、後悔しないよう全力で取り組んでください!何事も本気で取り組めば無駄にはならず、何より楽しくて、結果も良くなると思います!がんばってください!

※ウェブサイトでは学科紹介パンフレットから学生インタビューの一部を抜粋してご紹介しています。インタビュー本編はオープンキャンパスや進学相談会にご来場のうえ、ぜひパンフレットを手に取ってご覧下さい。