視覚表現演習E(2年生選択-後期)

授業概要]
この授業における昔話・物語の視覚化とは、昔話・物語を構成している言葉から、視覚化が可能な言葉を探し出し、昔話・物語を視覚造形操作によって再構成する試みである。昔話・物語の視覚化を、短絡的に個人的な感覚の表出としての表現に落とし込むのではなく、デザインの文脈に乗せることに重点を置く。主題となる昔話・物語の読み込みから始め、言葉が誘発するイメージを確かな形へ変換する為の様々な造形操作の開発を行い、書物の形態へと導く。よってこの授業の中心的課題は、ヴィジュアルコミュニケーションを成立させている、具体的な事象の視覚化から、抽象的な概念の視覚化までを視野に入れた、言葉と視覚言語(形、色彩、文字、書体、図像、イラストレーション、地図、ピクトグラム、ダイアグラム、写真など)との関係性についての基礎的な視覚造形操作の方法を学ぶことに有る。
  また一方で、視覚造形操作の表現を支える為には、どうしても良質な視感覚が必要とされる。その為に、色彩をテーマにした基礎造形のプログラムを課す。このプログラムでは、絵の具による色の厳密な調合から始め、幾つかの演習を通して自身の色彩感覚領域の拡大を目指す。このことは作品制作における自身の拘りを実現する為にどうしても必要とされるプロセスである。画材(絵の具)を通した色彩を追求することで、他のメディ(モニターと印刷など)へ展開する為の基準作りともなる。またこのクラスで扱う色彩とは、有彩色を用いたスタディと、活字によって組み上げられた言葉が作り出す濃度変化、タイポグラフィにおけるカラーコントロールを含む。

形態 – 種別] 実技 – 選択授業