ダイヤグラムデザイン(3年生Ⅱ群選択-後期)

先生からの授業説明]
ダイアグラムとは「見えない世界を見えるようにする」という行為です。しかしただ感情に任せたり独善的に構成するのではなく、何らかの客観的に評価可能な指標を基準にしなければなりません。特にその中心となるのは「数」です。ガリレオやニュートン以来の近代科学の成立以来、数」は強力な道具として世界記述に役立てられてきました。ダイアグラムはその流れを背景として18世紀の末から19世紀の初めに確立された新しい分野です。それによって数々の表現が生まれましたが、しかしながら我々の世界は「数」だけでは記述できません。数値に還元できないものもやはり無数にあるのです。ではそうしたものをいかにして拾い上げることができるのでしょうか。
我々の世界はどんどん全体を把握することが難しくなっています。しかしながら問題は明らかに世界規模で起きています。これからのダイアグラムとは五感を駆使し、また見る人の五感を刺激して、世界の現実感を喚起するものになるべきでしょう。この授業はそのための実験室です。

授業概要]
この授業では、具体的なデータを用いて「ダイヤグラム」の制作を行い、図表を論理的に構築する方法を学ぶ。
ダイヤグラムとは、観察や計測によって得られたデータを用い、対象となるものごとの量や質の違い、空間的な配置や時間的な変化などを表すグラフィックの一形態である。図表、図説、図解などと訳されるが、広義には年表のような時間軸に沿ったものや、地図(主題地図・変形地図)のように地理的な配置を示すものも含まれる。数字や文字では読み取るのが難しいような複雑な関係性を、感覚的に把握することができるという特長を持つ。
ダイヤグラムの制作においては、感覚的な造形操作だけでなく、論理的なルール作りが肝要となる。なぜなら、鑑賞者が視覚化のルールを理解しなければ、その図の表す事実を評価できないからである。図形の大きさ、色、形、さらには配置までもが明快に評価できるようにしなければならない。そこにはあらゆるグラフィックデザインの根幹となるような考えが詰まっているといっても過言ではないだろう。
授業では講義、ワークショップ、課題制作の3つを同時並行的に行いながらダイヤグラムデザインに対する理解を深め、主題に対しどのようなルールを与えて図を構築していけば良いのかを習得していく。また、紙メディアだけではなく、コンピュータ・プログラミングを使ったデジタル・メディアのダイヤグラム制作に対しても実践的なバックアップをする。もちろん立体や映像など別の表現メディアを用いることも歓迎である。

形態 – 種別] 実技 – 選択授業