[形態 – 種別] 実技 – 選択必修授業(ゼミ)
[授業概要]
●授業の目標
この授業の目的は学生各人がこれまで培ってきた多様なデザインの要素を、その個人の能力を最大限に発揮したかたちで、視覚伝達デザインとして[統合=integration]することにある。
これまでの視覚伝達デザインにおける学習対象は広く、〈知覚する〉〈場をつくる〉〈描く〉〈書く〉〈記録する〉〈編集する〉〈伝達する〉といった(人間の身体を基底とした実空間および書物やポスターなどグラフィック上の複製メディアから動的、インタラクティブなデジタル・ネットワーク空間を含めた)多様な『コミュニケーションをつくる』行為であった。
そこにはヴィジュアル・コミュニケーション・デザインにおける多様な目的と技術と創造行為の可能性がある。
具体的には記号、言語、映像、地図、イラストレーション、写真、ダイヤグラム、ピクトグラム、タイポグラフィ、ハイパー・テキスト、音などの人類のコミュニケーションの歴史(=writing space)が生み出した表現要素(=visual language)とメディアに関わることであった。それらを目的に応じていかに駆使して豊かなコミュニケーションとして定着させるかが私達の専門性である。
また表現の前提として、コミュニケーションをつくっていくうえで必要な動機をさぐり実践するための(デザインとは何か、いかにデザインするのかといった)理論やメディアやテクノロジーの歴史も考察し学習してきた。
ここではそれらをさらに統合、深化させ他者、コミュニティ、社会に向かって具体化していくことを目的とする。結果として視覚伝達デザインの多様なメディアと関わっていくことになるが、まずは各自が、一人のデザイナーとして自らのテーマを発見することが重要である。個人と社会が交叉するところにコミュニケーションとデザインは存在すると私は考える。それは各個人が持つデザインに対する動機、ヴィジョンと技術的な能力の可能性を自覚し、身のまわりの環境や社会に対する思考と表現を通して自らのアイデンティティを確認することでもあるだろう。
ここで言う「統合」ということばは単なるたし算の意ではない。上記の様々な要因を通し浮かび上がる新たな「結晶体」としてのデザインを生み出すことである。
この授業において受講生に求める基本姿勢を挙げておく。
1:テーマは与えられたものではなく自ら発見する。
2:テーマに関するリサーチを徹底的に行うことを前提とする。
3:五感を全開にしてテーマに取り組む。知覚を重要視する。
4:実践的に思考する。
5:意見交換の場を重要視する。